「ただいまぁ……」
「P’Po、おかえり」
ぱたぱた、とThameは帰ってきたPoの元に駆け寄る。友人達に誘われて飲みに行くから帰りが遅くなるかも、と言われていたけれども。
ちら、と時計を見るとギリギリ日付が変わる前で、Poにしては珍しいなと思ったのだ。
「……遅くなっちゃった、ごめん」
「大丈夫だよ、P’。それだけ楽しかったって事でしょ」
「んー……まあね」
ほんのり赤く染まった顔と耳、呂律がギリギリまわっているのを見るに、いつもより多めに飲んできたらしい。
これはこのまま寝かせてあげるのがいいかな、とThameは判断する。
「P’Po、今日はもう寝ちゃった方がいいよ。明日も叔父さんの所行くんでしょう?」
「ん……でもP’ねむくないから……」
「嘘嘘。眠たそうだよ」
ほら、歯だけ磨いたら寝室行こう? とThameはPoの手を引いて洗面所に向かおうとする……が。
「……Thame、P’がいなくて寂しかった?」
握った手を握り返しながらPoが問う。こちらを見てくるその顔は瞳が潤んでいて。
--悪酔いしてる……!
それを見てThameはそんな事を思う。寂しくないと言えば嘘になるが、彼がいなかったのは数時間で尚且つ誰とどこにいるか、は把握していたのでそこまででは無かったのだが。
「少しだけね。でもP’だって息抜きの時間は必要だし、気にしなくていいよ」
ほらほら、早く行こう。とPoの手を引いて行こうとするが肝心のPoが動こうとせず。
「……P’Po?」
「……キス、して」
「何て?」
「キス」
「P’酔ってるでしょ。酔ってる人にできないよ」
「……P’にはしてくれないの……?」
素面のP’にだったらめちゃくちゃしたよ! とThameは目の前にいるPoを見ながら思う。彼がここまで悪酔いしたのは珍しいと思いつつ、早くどうにかしてこの人を寝かしつけないと自分が負けてしまう、と自覚する。
「酔っぱらってないP’Poだったらいっぱいしたよ」
「……P’酔ってないよ」
「酔ってる人は大体そう言うんだよP’」
歯磨いてお水飲んで寝ちゃおう? とPoを説得するがPoは一向に首を縦に振ろうとしない。
Poが時々頑固になるのは知っているが、まさかこんな時にそれが発揮されるとは思っていなかった。
「……キスしたらちゃんと寝てくれる?」
「うん」
ふんにゃりと笑いながら答えるPoにThameは思わずかわいい、と言いそうになる。が、しかし目の前の人は質の悪い酔っ払いである。
「うん、って言ったのちゃんと聞いてたからね」
Poの首に手を回して、こちらに引き寄せる。Poはそれが当然とでも言うような顔のままThameの方に近付いて。
ちゅ、と二人の唇が重なりあう。Thameはそれだけにしようと思っていたのに、Poの方から舌を潜り込ませて来て一瞬遅れを取ってしまった。
苦、熱……! とPoの舌を感じながらThameはできるだけ応えないようにする。本当だったらこちからも舌を絡ませたいし、何ならもうこのまま寝室に連れ込んでしまいたい。
Poの舌に残っている苦味は恐らく酒のそれだろう。一体どこのバーに行っていたのか。あまり良くない酒を飲んできたのではないか。とThameは思う。そうじゃなければこんな悪酔いなんてする筈が無いのだ。
ちろり、とPoの舌を舐めるだけで口を離すと目の前には不満げな表情のPoが。
「……てぬきだ……」
「えぇ……」
手抜きというか舌抜きというか何というか。兎にも角にもこの酔っ払いを寝かせようと必死なのに。
「ちゃんとしたきすしないと寝ない」
「嘘でしょ」
こんなP’Po初めて見た、とThameは天を仰ぐ。天井の白がいつも以上に眩しく感じる。
「……てむ……」
もっかい、と迫るPoに待ったをかける。正直な話、Thameの下半身はすっかり反応してしまっていて、部屋着の布を押し上げているのだ。これ以上誘惑されてしまったらどうにかしてしまうかもしれない。しない、という確信が持てなかった。
「P’あんまり美味しくないお酒飲んできたでしょ? 口の中苦いんじゃない?」
「……にがい……」
「でしょ? だからもう歯磨きして口ゆすいで寝よう?」
何とかしてPoの軌道をキスから睡眠にしなければ、とThameは必死に説得する。自分の熱は彼が寝てからこっそり処理すればいい。
「ん……」
先程までキスしないと、云々と言っていたがどうやら酔いがまわり眠くなってきたらしい。Poは大人しくThameの言うことを聞いて洗面所に向かう。
「じゃあ……P’、それで歯磨きして」
「Thameは?」
「えっ」
「Thameも一緒に寝るんでしょ?」
こうなったら今度は一緒に寝る、と言わなければ寝室に行く事を拒否するだろう。そう判断したThameは僕も一緒に寝るよ、と歯ブラシを手に取る。
半分うとうとし始めたPoを起こしながら何とか歯磨きを済ませると、ThameはPoの手を引いてようやく寝室にたどり着く。この人を寝かせるだけなのに何でこんなに時間がかかったんだ。
「P’Po、ベッドに寝……うわぁっ⁈」
Poを寝かせようとした瞬間、ずんっと押されてThameはベッドに尻もちをついてしまう。彼を押したのは他でもないPo自身で。
何何何、何が起きてるの、と状況判断もままならない状態で顔を上げると。
「……てむ、はみがきしたからきすして」
「P’Po……⁈」
さっきまであんなに眠そうにしてたのに? と目前に迫るPoを見上げながらこの状況をどう打破するかThameは必死に考えを巡らせていた。
そんなThameの事など露知らず、PoはThameの膝の上に座り込んでしまう。ご丁寧に首の後ろに両手を回して。
--ッ、勃ってるからダメだってそこ座っちゃ……!
先程から痛いくらいに勃ち上がっているそこにPoの臀部が当たる。その感覚にThameは顔から耳から赤くなってしまい。
「てむ、たってる……」
「あぁあ言わないでP’、というか誰のせいだと……」
そう言うと、P’のせいだね。なんてふんにゃりと返されて頭を抱えたくなる。もうほんとこの人どのバー行ってなんのお酒飲んだの。こんな状態になるなんて滅多にないのに!
今度P’の友人から聞きださなきゃ、と思いつつまずは目の前にいる暴走列車をどうにかしないといけない。
「てれてる、かわいいね」
ぽんにゃりとした口調で言われ、この人が酔ってなければこのまま押し倒してしまったのに……! とThameは奥歯を噛みしめる。恋人とはいえやはり酔っている相手とそういう事はしたくない、というのが本音であった。
だからこそ、今こんなに苦しんでいるのだが。
嗚呼泣きたくなる己の理性の辛抱強さ。
「P’Po。キスはさっきしたでしょ? そんな眠たそうな顔して……明日もお仕事なんだからもう寝なくちゃ」
「もういっかい」
ね? と首を傾げながらこちらを覗いて来る。わざとか偶然かわからないが、屹立したThameの熱が当たる様に腰を揺らしているではないか。
クソ。何でこんな可愛いんだこの人。
思わずそんな言葉が口から出そうになるのを抑え、先程からずっと熱い視線でこちらを見つめているPoの方に視線を動かす。
……キス、だけで止まるんだぞ……!
自分に言い聞かせているのか、それともPoに対する願いなのか。
Thameはそんな事を思いながらPoの顔を引き寄せ、そのまま勢いに任せて唇を重ねる。すぐにPoの口が開いたのでそこに己の舌をねじ込んで。
Poの口内は歯磨きをしたおかげか、ミントの味がして。最初に感じた酒の苦味は薄くなっていた。が、口内の熱さは相変わらずで。
「んっ……」
舌を絡めてすぐにThameは自分の上にいるPoの身体から力が抜けていくのを感じ、膝にずしりと体重がかかってきた事からまさか、と目の前を見ると。
「ね、寝た……」
先程までの酔っぱらった姿はどこへやら。Thameに抱きついたまま幸せそうな顔で眠っているPoが視界に映る。
漸く寝てくれた、と思いながらゆっくりとPoをベッドに横たえると、しばしの間自分の股間と見つめ合う。
このまま収まるまでこうしているか、それとも処理してしまうか。
ちら、とPoを見てこれはもう起きないなと判断するとゆっくりとベッドから腰を上げる。そしてはぁあ……と大きな溜息をつくとそのままトイレへと向かうのだった。
酔った彼を襲わなかった自分の理性を誇りに思いながら。
※※※※
2025年9月ThamePo上映会の際にGAとして配布した短編でした。
「P’Po、おかえり」
ぱたぱた、とThameは帰ってきたPoの元に駆け寄る。友人達に誘われて飲みに行くから帰りが遅くなるかも、と言われていたけれども。
ちら、と時計を見るとギリギリ日付が変わる前で、Poにしては珍しいなと思ったのだ。
「……遅くなっちゃった、ごめん」
「大丈夫だよ、P’。それだけ楽しかったって事でしょ」
「んー……まあね」
ほんのり赤く染まった顔と耳、呂律がギリギリまわっているのを見るに、いつもより多めに飲んできたらしい。
これはこのまま寝かせてあげるのがいいかな、とThameは判断する。
「P’Po、今日はもう寝ちゃった方がいいよ。明日も叔父さんの所行くんでしょう?」
「ん……でもP’ねむくないから……」
「嘘嘘。眠たそうだよ」
ほら、歯だけ磨いたら寝室行こう? とThameはPoの手を引いて洗面所に向かおうとする……が。
「……Thame、P’がいなくて寂しかった?」
握った手を握り返しながらPoが問う。こちらを見てくるその顔は瞳が潤んでいて。
--悪酔いしてる……!
それを見てThameはそんな事を思う。寂しくないと言えば嘘になるが、彼がいなかったのは数時間で尚且つ誰とどこにいるか、は把握していたのでそこまででは無かったのだが。
「少しだけね。でもP’だって息抜きの時間は必要だし、気にしなくていいよ」
ほらほら、早く行こう。とPoの手を引いて行こうとするが肝心のPoが動こうとせず。
「……P’Po?」
「……キス、して」
「何て?」
「キス」
「P’酔ってるでしょ。酔ってる人にできないよ」
「……P’にはしてくれないの……?」
素面のP’にだったらめちゃくちゃしたよ! とThameは目の前にいるPoを見ながら思う。彼がここまで悪酔いしたのは珍しいと思いつつ、早くどうにかしてこの人を寝かしつけないと自分が負けてしまう、と自覚する。
「酔っぱらってないP’Poだったらいっぱいしたよ」
「……P’酔ってないよ」
「酔ってる人は大体そう言うんだよP’」
歯磨いてお水飲んで寝ちゃおう? とPoを説得するがPoは一向に首を縦に振ろうとしない。
Poが時々頑固になるのは知っているが、まさかこんな時にそれが発揮されるとは思っていなかった。
「……キスしたらちゃんと寝てくれる?」
「うん」
ふんにゃりと笑いながら答えるPoにThameは思わずかわいい、と言いそうになる。が、しかし目の前の人は質の悪い酔っ払いである。
「うん、って言ったのちゃんと聞いてたからね」
Poの首に手を回して、こちらに引き寄せる。Poはそれが当然とでも言うような顔のままThameの方に近付いて。
ちゅ、と二人の唇が重なりあう。Thameはそれだけにしようと思っていたのに、Poの方から舌を潜り込ませて来て一瞬遅れを取ってしまった。
苦、熱……! とPoの舌を感じながらThameはできるだけ応えないようにする。本当だったらこちからも舌を絡ませたいし、何ならもうこのまま寝室に連れ込んでしまいたい。
Poの舌に残っている苦味は恐らく酒のそれだろう。一体どこのバーに行っていたのか。あまり良くない酒を飲んできたのではないか。とThameは思う。そうじゃなければこんな悪酔いなんてする筈が無いのだ。
ちろり、とPoの舌を舐めるだけで口を離すと目の前には不満げな表情のPoが。
「……てぬきだ……」
「えぇ……」
手抜きというか舌抜きというか何というか。兎にも角にもこの酔っ払いを寝かせようと必死なのに。
「ちゃんとしたきすしないと寝ない」
「嘘でしょ」
こんなP’Po初めて見た、とThameは天を仰ぐ。天井の白がいつも以上に眩しく感じる。
「……てむ……」
もっかい、と迫るPoに待ったをかける。正直な話、Thameの下半身はすっかり反応してしまっていて、部屋着の布を押し上げているのだ。これ以上誘惑されてしまったらどうにかしてしまうかもしれない。しない、という確信が持てなかった。
「P’あんまり美味しくないお酒飲んできたでしょ? 口の中苦いんじゃない?」
「……にがい……」
「でしょ? だからもう歯磨きして口ゆすいで寝よう?」
何とかしてPoの軌道をキスから睡眠にしなければ、とThameは必死に説得する。自分の熱は彼が寝てからこっそり処理すればいい。
「ん……」
先程までキスしないと、云々と言っていたがどうやら酔いがまわり眠くなってきたらしい。Poは大人しくThameの言うことを聞いて洗面所に向かう。
「じゃあ……P’、それで歯磨きして」
「Thameは?」
「えっ」
「Thameも一緒に寝るんでしょ?」
こうなったら今度は一緒に寝る、と言わなければ寝室に行く事を拒否するだろう。そう判断したThameは僕も一緒に寝るよ、と歯ブラシを手に取る。
半分うとうとし始めたPoを起こしながら何とか歯磨きを済ませると、ThameはPoの手を引いてようやく寝室にたどり着く。この人を寝かせるだけなのに何でこんなに時間がかかったんだ。
「P’Po、ベッドに寝……うわぁっ⁈」
Poを寝かせようとした瞬間、ずんっと押されてThameはベッドに尻もちをついてしまう。彼を押したのは他でもないPo自身で。
何何何、何が起きてるの、と状況判断もままならない状態で顔を上げると。
「……てむ、はみがきしたからきすして」
「P’Po……⁈」
さっきまであんなに眠そうにしてたのに? と目前に迫るPoを見上げながらこの状況をどう打破するかThameは必死に考えを巡らせていた。
そんなThameの事など露知らず、PoはThameの膝の上に座り込んでしまう。ご丁寧に首の後ろに両手を回して。
--ッ、勃ってるからダメだってそこ座っちゃ……!
先程から痛いくらいに勃ち上がっているそこにPoの臀部が当たる。その感覚にThameは顔から耳から赤くなってしまい。
「てむ、たってる……」
「あぁあ言わないでP’、というか誰のせいだと……」
そう言うと、P’のせいだね。なんてふんにゃりと返されて頭を抱えたくなる。もうほんとこの人どのバー行ってなんのお酒飲んだの。こんな状態になるなんて滅多にないのに!
今度P’の友人から聞きださなきゃ、と思いつつまずは目の前にいる暴走列車をどうにかしないといけない。
「てれてる、かわいいね」
ぽんにゃりとした口調で言われ、この人が酔ってなければこのまま押し倒してしまったのに……! とThameは奥歯を噛みしめる。恋人とはいえやはり酔っている相手とそういう事はしたくない、というのが本音であった。
だからこそ、今こんなに苦しんでいるのだが。
嗚呼泣きたくなる己の理性の辛抱強さ。
「P’Po。キスはさっきしたでしょ? そんな眠たそうな顔して……明日もお仕事なんだからもう寝なくちゃ」
「もういっかい」
ね? と首を傾げながらこちらを覗いて来る。わざとか偶然かわからないが、屹立したThameの熱が当たる様に腰を揺らしているではないか。
クソ。何でこんな可愛いんだこの人。
思わずそんな言葉が口から出そうになるのを抑え、先程からずっと熱い視線でこちらを見つめているPoの方に視線を動かす。
……キス、だけで止まるんだぞ……!
自分に言い聞かせているのか、それともPoに対する願いなのか。
Thameはそんな事を思いながらPoの顔を引き寄せ、そのまま勢いに任せて唇を重ねる。すぐにPoの口が開いたのでそこに己の舌をねじ込んで。
Poの口内は歯磨きをしたおかげか、ミントの味がして。最初に感じた酒の苦味は薄くなっていた。が、口内の熱さは相変わらずで。
「んっ……」
舌を絡めてすぐにThameは自分の上にいるPoの身体から力が抜けていくのを感じ、膝にずしりと体重がかかってきた事からまさか、と目の前を見ると。
「ね、寝た……」
先程までの酔っぱらった姿はどこへやら。Thameに抱きついたまま幸せそうな顔で眠っているPoが視界に映る。
漸く寝てくれた、と思いながらゆっくりとPoをベッドに横たえると、しばしの間自分の股間と見つめ合う。
このまま収まるまでこうしているか、それとも処理してしまうか。
ちら、とPoを見てこれはもう起きないなと判断するとゆっくりとベッドから腰を上げる。そしてはぁあ……と大きな溜息をつくとそのままトイレへと向かうのだった。
酔った彼を襲わなかった自分の理性を誇りに思いながら。
※※※※
2025年9月ThamePo上映会の際にGAとして配布した短編でした。