という訳で。
ちいかわの映画を観てきました。

ツイッターで昼間とか夕方は子連れが多くて地獄…みたいなのを見かけて夜にしたんですが、夜は夜で大人が多かったのでもしかしたら皆子連れを避けていたのかもしれない。
個人的にちいかわって子供向けではないと思っているんですが、キャラクターが可愛いが故に子供向け映画だと思っている層が多いんだな…と思ったり思わなかったり。
とはいえ、私が観た回はとても静かでした。良かった。

いやーーーーね、漫画も読んでいたのでどういう話かはわかっていたけれども。
やっぱりそこに音楽とか演出が入ってくると当たり前だけど迫力が全然違くて。
特に音楽。昼間の楽しそうなシーンなのにどことなく不穏で、アリ・アスターのホラー映画かと思ったよ一瞬
ほら…あの人の映画も昼間のシーンなのに音楽が怖くてずっと「何か起きるんじゃ…?」っていうプレッシャーとストレスをこちらに与え続けてきて、一切安心させてくれない…いやほんとこれに近かったね、ホラー映画じゃない筈なのに。

それとセイレーン。
可愛さもあるけど、やっぱりでかくてつよいな種族ではあるので話が通じそうで実は通じないな…?というのもいい感じの恐怖だった。
喋り方もどこか舌ったらずで幼さが見えつつも、自分の目的の為には他の誰がどうなろうと知った事じゃないという態度が正に「分かり合えない」の雰囲気があってとても良くて…
とはいえ、一瞬でも島民とwinwinの関係を築けてはいたので、他のでかつよに比べたら多少話がわかるんじゃないかな…多少。

さてはて。

映画ちいかわ。見事なまでに倫理感と哲学のお話でした。
一体どうすれば「適切」だったのか。
多分もう良い悪いの話ではなくて、誰がどうすれば良かったのか…みたいな次元だと思うんですよね、あれ。
セイレーンがヒトハとフタバの小舟にぶつかったのは故意ではなく(まあセイレーン的にはちいかわ族の命が云々なんて道徳感はないのでアレですが)。
そこからヒトハがフタバを諦めてしまえば良かったのか、否いつも二人で一緒の彼らにはその選択肢はなく。
結果、復讐も兼ねての人魚撲殺。
ここまで見たらヒトハのエゴの暴走…にも見えるけど、背景を考えるといやそうなるよね……にもなり奥歯をぎりりをせざるを得なくて。

一時ツイッターでも話題になった煮付けエンド、これは尊いのかそれとも共犯なのか。
ヒトハがエゴで人魚を殺したのなら、フタバもエゴでヒトハを自分と同じ「ちいかわ族の皮を被った違うモノ」に変化させてしまった。
二人が己のエゴで動いた結果のツケは本当に何も知らない島民達に回ってしまって。
ここでの被害者って島民達だけなんですよね…かわいそうに……

ので、私個人としてはヒトハとフタバの煮付けは尊い…にはなりませんでした。
なんというかエゴの押し付け合いで…まあ共犯者ではあるんですが……なんだろうな、でもどうすれば良かったんだろうか、というのはずっと考えさせられるな、と。

そして全てを知ってしまったちいかわの「黙っている」という選択。
あれも間違っている、とは思わないし私が同じ立場だったら私もきっと「黙っている」という選択を取ると思います。
まあ…話が綺麗にまとまっている、し自分が黙っていれば二人が今後島民から危害を加えられる事もないだろう、し。
それでもあの二人がやった事がバレてしまったらそれはそれで、自分は関与していないし。
結局保身ではあるけど、最善の選択でもあると思ってしまう……。

とまあ観た後も悶々と考えこんでしまった、何が正しいかなんて出ないでしょこんなん……
それは兎も角、上映終了後、劇場から出ていく時に見た少女が今にも泣きそうな顔をしていたのが印象的でした。そうだね、最後怖かったね。
2026/08/10(月) 00:20 映画感想 permalink COM(0)
映画8番出口。
映画館で見たい見たいと思っていたものの、中々時間が取れずに見に行けなかった映画がサブスクにきていたので早速鑑賞。

大元のゲーム自体は知っているので、あのシンプルなゲームをどうやって映画に落とし込むのだろうと。
まさかのカンヌでも評価されていたし、評判自体はそんなに悪くないな…というのが見る前に抱いてた印象でした。

いざ。

いや……何、めっっっちゃいい映画じゃん……!
感動する、とかそういう意味ではなくてゲーム実写というジャンルの上位に確実に食い込んでくる……個人的にゲーム実写で出来がいいって思っているのはサイレントヒルの実写なんですけど(但し一作目のみ)それと同じくらい原作に対する愛と理解と感じました。原作リスペクトしている作品は見ていて気持ちいい。

映画に対する前情報というかネタバレは余り吸わずにいたので(おじさんに自我がある、という程度)見ていてなるほどなぁ!となる所があったのは新鮮で良かった。
ホラー要素強めだ、というのも耳にしていたのでどんなものかと思いきやこれまたメンタルに来る悪趣味なじっとり系ホラーで厭らしくていいなぁ、なんて思ったりもして。
人生にも地下通路にも迷ってしまった二宮くんへの最大の精神攻撃として「赤ちゃんの泣き声」をチョイスしてくるあたり、あの地下通路には迷い込んだ当人の深層心理かなんかを反映する部分があるんだろうなぁ、なんて考えてみたり。

迷う男、人生にも地下通路にも迷っている……その描写が良かったですね。
元カノと別れる・子供の父になる/ならない・諸々
ゲームでは唯の異変の巣窟である8番出口という場所を彼自身の成長の場にしているのが何とも。
喘息持ちである・父親がいない・恐らく被災している、とまあ彼本人苦労してきたんだろうなぁと思わせる二宮くんの疲れた男の演技もとても良かった…いや本当に良かった。

おじさんが喋った!!!!!

いや今作最大の驚きはこれに尽きるのでは。
ゲームでは唯々歩いているだけだったおじさん。時々おじさん本人が異変と化してこちらに襲ってくるおじさん。
おじさんの背景がここで語られるとは。
おじさんに問いを投げかけてきたJK、あれはきっとおじさんが日々思っていた事なんでしょうね。
ぎゅうぎゅう詰めの満員電車に乗って、仕事して、残業して、家帰って寝る。毎日これの繰り返し。
その日々の虚無というかなんというか、何でこんな毎日を繰り返して……?という疑念は私も常に抱いているので気持ちはわかる。
かと言ってあの地下通路を延々と歩くだけの存在になりたいかと言われたらNoですけれども。
そう考えるとおじさんの視点が所謂一般的な社会人、のそれなのかもしれない……地下通路から出ようとする余り周りが見えなくなって、一緒にいた少年の目線にもならず、自分の事だけを考えた挙句あの通路に飲み込まれて自分が異変になってしまった。
おじさん、社会人やるのとあそこで永遠に歩き続けるのとどっちのがしんどい??異変になったおじさんはもうそういう事すら考えられ無さそうだけど……。

そして少年。
おじさんと一緒にいたけれど後々二宮くんと合流する「お助けキャラ」的ポジションでもあるし、迷う男にとっても重要な存在になる彼。
おじさんと一緒にいた時は口が利けない子なのかと思っていたけれど、あれは単におじさんが怖くて(警戒しすぎて)声が出せなかっただけなのかもと。
彼……個人的には迷う男の息子くんでは?と思ってるんだけど、父親はいないと言っていた事を考えると迷う男と彼女が別れてしまった世界線の存在なんだよなって。
それを考えるともしかするとあの地下通路は彼自身を救済する場でもあったのかもしれない。何言ってるかわからなくなってきたぞ。
個人的には最後、彼はちゃんと脱出できたと思います。だって迷う男が「迷う事なく」助ける事を決心したから。きっといつかチーズがいっぱい乗ったピザを一緒に食べる日が来るでしょう。

そしてラスト。
大して満員でもない電車で泣いてる赤ちゃんをあやすお母さんとそれに突っかかってる煩い男。
最初はスルーしていた二宮くんが今度は何らかのアクションを起こす、という所で綺麗に終わり。
いや、いい終わり方ですね。

個人的にテーマ曲がボレロだったのもとても良くて。まあループといえば!みたいな部分もあるかもですが。
ゲームの世界観に上手く肉付けができていた、そんな映画だったと思います。
映画館で見たかったぁあ……!
2026/02/08(日) 23:52 映画感想 permalink COM(0)